三賢社

— Web連載 —

(日本語) シラウオ

サケ目シラウオ科
北海道から九州熊本県までの主要な河川、汽水湖などに生息。青森県小川原湖、茨城県霞ヶ浦、秋田県、若狭湾、島根県宍道湖などが有明。

高級魚度
★★
条件が揃えば高級魚
★★高級魚
★★★超高級魚
高級魚の達人度
☆☆
高級魚の凡人
☆☆ほぼ達人
☆☆☆高級魚の達人
(日本語) シラウオ

シマアジの漢字は「島鯵」でもあり「縞鯵」でもある。 東京という国内随一の消費地の、魚河岸(和名がついた時点なので日本橋)では同都内伊豆諸島でたくさんとれたので「島鯵」だ。 神奈川県江ノ島や静岡県浜名湖では若い固体しかとれなかったので、縦のゴールドラインが目立つ、それがために「縞鯵」でもある。 蛇足だが、釣り上げると「ぎうぎう」と鳴くので「唄魚うたご」、「ぎゅうぎゅう」という呼び名もある。 関西や九州でも人気が高いが、敢えて言えば、東京を代表する高級魚だ。江戸時代には押送船と呼ばれた高速の和船で、伊豆大島などから送られてきていた魚のなかで、もっとも値の張るものだったに違いない。 世界中に膨大な種数を誇るアジ科の魚だ。アジ(マアジ)と同様に測線上に稜鱗(ぜんご)がある。シマアジ属は世界中に四種いるが、一メートル以上になるのは本種のみ。伊豆諸島ではこの超大型を「おおかみ」と呼び、釣り人の憧れの的となっている。 東太平洋を除く世界中の温帯域にいる。国内では、本州以南にいるが、成魚は房総半島以南の太平洋沿岸に多い。 代表的な産地は東京島嶼部、三重、高知県、鹿児島などだ。 本種の場合、小さくてもある程度の値がつき、一キロを超え、鮮度がいいと超高級魚である。 アジ科三大養殖魚とは本種、カンパチ、ブリである。養殖魚なので値が乱高下することはなく、まるで定価があるごとくだが、本種がいちばん高い。 さて、産卵期は秋から冬なので、まさに夏の魚である。最近では旬が乱れていて、時季を問わず上物が入荷してくるが、やはり夏に高い。 天然ものの二キロ前後が好まれるが、最上級のものだと、軽くキロあたり万超えする。このサイズで二万円なら買い頃かも知れない。 塩焼きなども絶品だが、やはりシマアジは刺身で味わってこそだ。 最近、天然もののよさがわからない人が増えている。知り合いのすし店でも、天然を出して、まずいと言われたそうだ。 素直な気持ちなのだから仕方がないが、この脂ではなく、上品な白身魚の味をじっくり堪能して欲しいものだ。 刺身で食べると、マダイなど白身のおいしさに、アジ科ならではのうま味が混在している。 年間を通してあまり味の落ちない魚であるが、どうしても天然ものには脂ののっていない時季がある。 魚の価値を脂だけで判断する向きには、年間を通して養殖魚をどうぞ、といいたくなる。 そうなりゃー、天然の上物も、ちとは安くもなるかも知れぬ。 ※これは未校正、完成した原稿ではありません。 「シマアジの刺身、絶うまにゃーん」

高級魚 100連発 | 藤原昌髙 ふじわら・まさたか

イラスト・にい きよ

藤原昌髙ふじわら・まさたか

徳島県美馬郡貞光町(現つるぎ町)生まれ。ウェブサイト『ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑』主宰。40年にわたり、日本全国で収集した魚貝類の情報をサイトにアップし続けている。『からだにおいしい魚の便利帳』(高橋書店)、『ぼうずコンニャクの全国47都道府県 うますぎゴーゴー!』、『すし図鑑』、『美味しいマイナー魚介図鑑』(ともにマイナビ出版)、『イラスト図解 寿司ネタ1年生』(宝島社)など著書多数。

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